一日で、何件もの家を見ることがあるが、商売であるからして、
特別な想いもなく、仕事として割り切っていた。
どちらかというと、相談のほうに頭がいって、どう提案するか、その悩みをどう解決するかばかり、
考えてしまうから、いいも悪いもない。
が、こうも違いがハッキリとわかると、なんだか不思議な感じがするものである。
昨日、最初にいった家は、拙好みの和風の、いわゆるいい家であった。
いたるところに凝った仕事が見られる。
破風板にも、シャクリが入っていて、軒樋金具の付いているところと、その下でシャクリだけではなく、塗装も若干色分けしている。
品の良い色合いの外装だから、艶消しであるが、それでいて、モルタルの外壁から、みずがしみ込んでいるふしがない。
軒の出が、2尺あるので、外壁が雨でぬれずらいのだろう。
木部が多く、面格子もラワンのしっかりとしたものだった。塗装がはげているが、
昔のOPである。
これが、拙はとっても良いと思う。
風化して薄くなっている。
今の塗料は、OPより確かに強くなっているが、劣化してくると、薄皮が剥げるように、ひび割れてくる。
そこから、毛細管現象で木部を濡らす。
それがいけない。
昔のOPのほうが持ちはないが、木部や鉄部にとっては、いいのかもしれない。
軒天も化粧板がしっかりしていた。
広小舞もまだまだがっちりしている。
屋根の劣化は、ここが肝心だ。
広小舞がしっかりしていれば、先ず問題なし。
外壁のモルタルもクラックもなく、
とにかくちゃんと建てたという印象だ。
午後、夕方に、すでに着工している現場へ。
ここは、サッシを交換したが、建てつけが悪く戸が閉まらない。
おかしい・・・まぐさは水平だ。
床は水平なのだ。
柱が思いっきり曲がっている。
もう、えっ?っと思うくらい曲がっている。
クロスの補修なしに行おうと思ったが、
枠も、クロスも補修しなければならない。
見積もりの時にしっかりとみなければいけなかったが、
まさか、そこまでとは・・・思わなかった。
水平は解る。
しかし、柱の傾きは解らないものである。
そういえば、入った時なんだか、変な感じがした。
もっと、水平器か、下げ振りで測ればよかったと思ったが遅い。
まさか、やっつけ仕事でごまかすことはできない。
柱の傾きを戻すことは、外壁から、内壁まで全部はがして引っ張れば出来ないこともないが、
そこまでは、当然施主も望んでない。
枠と、クロス補修して、見た目だけでも、治すしかない。
同じ木造の家で、こうも違うものかと、思ってしまう。
坪単価もそりゃ違うと思うが、ちょっとした職人の気遣いで、変わるところもある。
対照的な建物をみた想いがする。
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