昨日一昨日と一泊で、耐震指導者講習なる研修会に参加してきました。
正直いって、この手の講習会で勉強になることってあまりないのですが、
今回は、よかったです。
新しいことが勉強できたわけではないのですが、深く掘り下げていただいたという感じです。
というのは、現在の木造住宅における耐震診断及び、耐震補強はある教科書に基づいて行われているのだが、その教科書の原案者の一人が今回の講師でだったのです。
過去においても他の原案者の先生の話を聞いたことはあったのですが、一般向けする話でしかなかったので、実は今回もあまり期待はしていなかったのです。
でも、今回のS先生はよかった。
どのようにして、その内容が決まって言ったかとか、実験の裏話とかが、オイラにとっては、非常に興味深いものだった。
話の一つに、
神戸の六甲山にEディフェンスなる、地震の実験場がありますが、この実験場は、世界一の規模で、ものすごい大きい体育館を想像してみてもらえればいいです。
そこでは床が、地震波を再現できる仕組みになっていて、色々な実験が行われているんです。
我々木造の構造が好きな、ちょっと変わった人間にとっては興味深い実験ビデオがあります。
阪神淡路の地震で、JR鷹取駅近くで取れた”JR鷹取波”なる地震波を再現するのです。
ただ再現するのではなく、当時、神戸に建っていた古い住宅を持ってきて、揺らす実験なのですが、この実験ビデオは、我々の中では、ちょっと有名な実験ビデオなのです。
で、この古い住宅は、実は2棟あって、一つはその当時のまま何もしないもの。もう一つのほうは、耐震補強したもので、並べて、一緒に揺らすのです。
結果は、ドラマのようにちゃんと、何もしないほうが倒れて、補強したほうが残ることになるのですが、
舞台裏の話が、やっぱり当事者の心模様というか、それが聞けて面白いかったですね。
このビデオは、オイラも持っていて、耐震補強補助金説明会やら、リフォーム塾なんかでも、流したことがあるので、見た方もいるかもしれませんが、
ただ見るだけのオイラ達には、地震ってすごいな~、やっぱり補強してあるとちがうな~くらいの感じしかなかったのです。
でも、この実験をやった人たちにとっては、その実験前夜はどんな心境だったかをおもうとそうか、なるほど、と思ったのです。
だって、補強しないほうが倒れなかったら、そして、もし、補強したほうも倒れてしまったら、とか色々考えるわけですよね。
で、前夜の会議が 、午後6時に終わったそうな、「じゃ、明日、揺らしますね。」
とその時、誰かが、「いいんですかね?」と、それが引き金で、激論が12時まで続いたそうです。
このまま本当に揺らしていいのか、
阪神淡路の揺れは、800ガルという加速度で、これってものすごい揺れなんですが、
そのままの加速度でゆらして本当に思う通りの実験結果がでるのか。
もうすこし、低い速度にしてもいいんじゃないか。
どちらも倒れてしまったら、どうするんだ。
喧々諤々の議論が6時間もつづいたそうで・・・・
でも、オイラからすれば、もっと早くにその話だろうとも思ってしまったんですが。
で、結果、委員長のS先生の、鶴の一声で、「明日、そのまま揺らしましょう。」となったそうな。
当日実験開始、はたまた、先生方の思った通りになってくれるのか。
はたして、結果は、このビデオがあるんですから、思った通りになったわけで、
委員長のS先生も、実験直後、「ヤッタ!」と言わんばかりに、隣にいた今回のS講師の手を握って喜んだそうな。「Sさん、よかったね!」
オイラなんかだとたぶん、みんなで抱き合ってよころぶんだろうな~と想像して聞いていたんだが、そこはそれ、日本のお偉い先生方、はしゃぐわけにもいかないんだろうな。
でも、その臨場感たっぷりの話は、おもしろかった~。
それをただ見ているオイラ達は、なるほど、補強すれば、倒れないと簡単に思っちゃうってことですが、
舞台裏は、色々あるんだなと、そして、こんな熱心な研究者の人たちによって、支えられていることってあるんだと感じ入った次第です。
なにも、耐震のことばかりではないよね。
今回の講習は、他にも、建築基準法の何々はこれこれでできたとか、
そんな話が随所にあって、おもしろかったな~。
このJP鷹取波のビデオは、もう少し面白いのがあるだが、耐震補助金説明会で見られるようにしますので、興味のある人は来てみてください。
次は10月27日です。時間場所は、おってお知らせします。
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