「こんなこと、どこに頼めばいいの・・・?」という言葉は、相談ごとを聞いていると必ず出てくるフレーズで、もう社会現象、という印象が拙にはある。
いやいや正確にいうと、社会問題である。
この言葉の後には、必ず「以前は、自分でやってたんだけどね~」と続く。
高齢化の波を現場の中に実感している。
電球交換は、何業種の仕事だろうか?
リフォームと呼べるかどうか微妙なことをよく頼まれるが、これはこれでリフォームの範疇かもしれない。
たかが電球、されど電球・・・
電球交換しなければ、暗くて見えないのである。
高齢化の社会問題というと、マスコミも政治家もまず、認知症を上げるだろう。
重要な課題である。
しかし、認知症の人と健康だけど電球交換がちょっと難しい人とどっちの数が多いか?
圧倒的に健康な高齢者のほうである。
埋もれた問題であるが、これがけっこう社会問題化しているのは、誰も気づかない。
当の本人すら、社会問題とは思っていないはずである。
でも、ボディーブローのように生活のストレスとなっていく。
一見親切そうに近づいてくる訪問販売の餌食になる可能性が、そこにある。
悪徳訪問販売は社会問題である。
その要因が、電球にあるとは、だれも想像すらしないのである。
政治家も、当たり前だが、電球交換を公約にはしない。
確か、民主党のマニフェストにも書いてなかったような・・・
それでも大切な問題に変わりはない。
ハウスメンテマスターの役目はそこにある。
まずは、自分の家は自分で守りましょうってことで、ちょっとした家のメンテナンス方法を扱う。
それから、プロの工事まで施工のポイント・コツを教える。
襖・障子の張替・網戸張替から、もちろん照明器具の交換も、まだまだいろんなこと・・・
正しい知識、技術のコツを理解したうえで、困っている近所の人がいたら、助けてやってほしい。
地域の為に役に立つ。これもハウスメンテマスターの重要な役目である。
我々工務店や職人が講師になって、技を伝授します。
なんの得があって、そんなことするの?
たしかにそういった疑問を投げかけられる。
電球交換は大切な仕事である。
でも、わざわざ熟練の職人が、おれがおれがと出張っていくような仕事だろうか?
いくら貰えばいいのか?
普通の手間は、当然もらえない。
断ると、良心的な業者には、見られない。
当然、無料のサービス工事となる。あ、工事とはいえない。
こんな微妙な工事が、日々の中でいっぱい存在する。
当然無料である。
無料の仕事数が、良心的な業者かどうかのバロメータである。
それがまた、隠れた社会問題になっている。
零細企業の経営圧迫は、何も銀行の貸し渋りだけではない。
儲からないことが、後継者問題にもつながる。
若い人が、儲からないオヤジの仕事を継ぐわけがない。
大工の技術が今、継承できるかどうか・・・これも社会問題と言わざるを得ない状況だ。
仕口といって、木と木をつなぐ継ぎ方。
アリ・カマ・追っかけダイセン・コミセン・腰掛・四方カマ・・・・・
これが、理にかなった伝統の技だ。
今の若い大工にはどれだけできる人間がいるか・・・
しかしというか、だからというか、木造在来工法は、すでにプレハブ化して、伝統の技が使えない状況である。
使いたくても使えないというか、使わなくてもできる。いや使うところがない。
プラモデルが作れればできちゃう、と言っても過言ではないだろう。
道具も、ノミはいらない。カンナも使わない。
ゲンノウ(金槌)も一応腰袋には入れているが、いつ使うか解らない。
ノコギリも使う数を数えられるかも・・・
じゃどうやって作ってるの?
みんな電動工具である。
釘を打つのは、ビスでインパクトでしめるし、鉄砲釘打ち機でバンバン打つ。
丸のこや押しギリサッシャーで90°、45°自由自在で、さっと切れる。
墨付け、刻みがなく、工場プレカットで、現場に入ってくるので、上棟まで木は見ない。
今の建築現場の状況である。けっして大げさではない。
なんだったら、現場の大工に聞いてみてもいい。
はたして、こんなことでいいのか????
話を戻そう。
何も、こまめなサービスがいやだということではない。
良心的な業者ほど、無料仕事を一生懸命にする。
そしてお客様に喜ばれる傾向がある。
それが地域密着であり、生きている術なのだ。
心底そう思っている、良心的な業者がいる。
ユーザーはこんな業者にばかり当たるといいと思う。
その間隙を、悪徳が狙っているから、素人はどこに頼めばいいのか解らなくなる。
悪徳は悪徳で、初めから悪徳ですって顔で近づいてこないから、始末が悪い。
信頼できる住宅のメンテナンスの担い手が必要である。
自分で出来るメンテナンスは、自分でしましょう、教えるから。
正しい方法が解ったら、近所のちょっとしたメンテナンスもやってあげてね。
工務店・職人は本来の技が生かせる仕事に精を出し、
そんなハウスメンテマスターがいたら、ちょっとしたことは工務店のほうから、逆に頼みたいのである。
熟練のプロじゃなくてもできることって、御依頼の中にたくさんある。
多能工というが、そういう仕事を受け持ってもらいたいと思う工務店はけっこうある。
先も言ったが、良心的な工務店はけっこういろんなことを依頼されるから。
ユーザーは、適正なメンテナンスを真に良心的な価格で受けられ、
みんな、WINWINの関係が築ける地域社会。
Imagine there's no countries
it isn't hard to do
想像してみて、そんな世界を、難しくないよ・・・
ジョンレノンじゃないが、
いよいよ夢が始まる。
12月6日(日)第1回ハウスメンテマスター講座・検定
申し込みは、11月20日まで。
ふるって参加していたきたい。
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