一昨日の続き 耐震補助金が使われていない現実の謎・・・
たぶん耐震という言葉に、一抹の不安を感じるのではないだろうか・・・
怪しい響きがある。
でもでもでも、行政のやることであるからして、怪しい訳ではないと思うが、そうでもないらしい。
実は、昨日、セミナーの講師をやっていたが、そこでの質問・・・
横浜市の耐震補助金150万円で出来るところまででいいからしてほしい。
こう思っている方が、けっこういらっしゃるようである。
そりゃそうだ。耐震リフォームに掛ける全国の平均的な金額は125万円である。
誰が見たって、150万円もあれば出来るじゃないか・・・と思うのは当然である。
もう一度ハッキリ言おう・・・補助金だけでやってもらえるのだったら、耐震補強してもらいたい。である。
しかしこれが、そうは問屋が下ろさないカラクリがある。
なぜって?
ちょっと小難しい話になるが聞いてくれるだろうか・・・
それには先ず、補助金が使える条件を説明しよう。
条件があるんだ?・・・そりゃそうだ、やみくもに何でも補助金なんか出せないよ。ちゃんと条件がある。
一つには、昭和56年5月以前の確認申請が出された建物であること。
これは皆さん結構知っている。
そして、横浜市の無料耐震診断を受けて、その評価が1.0未満であること。
1.0以上だったら使えないのである。
ここが実はミソである。
この評価というのは実は、4つの数字から出来ている。
諸貴兄姉氏には、遠い昔を思い出していただきたい。
4つの数字とは、仮に2階建て住宅としよう。
平面的に考えて、1階の縦軸をX軸、横軸をY軸としよう。
2階もX軸、Y軸と見た場合、4つの数字が表れる。
要するに、1階のXとY、2階のXとYである。
この4つの数字を診断して出す。
で、この4つをみて、最後に評価を1つ出すのである。
例えば、1Xが0.3、1Yが0.4、2Xが0.7、2Yが0.8、と診断された家があったとする。
この家の評価は、いくつであろうか?
合計は、2.2である。4で割って、0.55と暗算で答える人は頭が良い。
がしかし、そうはならないのである。
この家の評価は、0.3である。
????どこからその数字が来たのか・・・
一番最低の数字がそのままその家の評価とする。というルールがある。
要するに、1Xの0.3が一番低い数値だから、全体の評価も0.3となるのである。
単純に一番低い数値がそのまま評価となる。この評価のことを上部構造評点という。
ここまでもだれでも解かることである。そんなに難しくないと思う。
ところが、ここからよ~く聞いてほしい。
補助金の条件というのは、この0.3を1.0以上にすることにある。
言いかえれば、4つの数値の全部を1.0以上にすること。である。
おわかりだろうか?
上記の家の場合、4つ数値全部を1.0にする必要がある。
例えばこのような例を出そう。同じ0.3と評価された家である。
1Xが0.3、1Yが1.1、2Xが1.1、2Yが1.1と診断された家があったとしよう。
この家の上部構造評点は先ほどの家と同じ0.3である。
もうおわかりだろう。この家の耐震補強は、1Xのみすれば足りるのである。
他の1Y、2X、2Yはすでに1.0以上であるからして、するんであればより結構なことだが、予算もあるしという話であるなら、それはそれで評価としては、問題はない。
前者と後者では、同じ評点0.3の家でありながら、補強工事としてはぜんぜん違う内容になってしまう。
いやいやいや、そんなに結構・・・補助金以内でいいよ・・・というわけにはいかないのである。
もう一度言おう、なぜなら、評点を1.0以上にしなければ補助の対象にはならないからである。
4つの数値のうち、一番低い数値がその家の評点になる。
ということは、0.●●があってはならないからして、ほどほどでいいという訳にはいかないのである。
お解りいただけたであろうか・・・
これは、行政単位の方針である。
他の区市町村では、1.0までじゃなくても出すところもあるらしいが、こと横浜市の補助金はこのようなルールになっている。
じゃ、うちは、いいや・・・と思われただろうか?
このようなことをきちんと伝える機会を行政も作らなきゃいけないのでは、とも思う次第である。
もし、本気で耐震補強をお考えであれば、もう少し突っ込んだ話も次回しようではないか・・・
すればするほど、小難しい話になるがついてこれるかな?
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