横浜市の耐震改修事業について、少しばかり不安に思っている方がいらっしゃるようだ。
いやいや、建築局の方はそりゃそりゃ、詳しい方が入らっしゃる。これホント。
横浜市の建築局は、よその行政とは一味も二味も違うのである。
他の行政では、一部の建築士にお任せ状態である。
建築士事務所協会とか、構造に詳しいNPO団体とか、そういったところに丸投げ状態のところもある。
それから比べると、横浜市は特別と言ってもいいくらいの専門家集団である。
一般住宅の耐震補強とは、木造の構造分野である。
一般に構造屋と言われる人達がいる。そう、アネハ事件で有名になった。
あの人は構造屋さんである。
同じ建築士であるが、世に圧倒的に多いのが意匠屋の建築士である。
そう、ビフォーアフターなる人気番組もこの方たちの独壇場だ。
町の建築士事務所を営んでいる方々は、住宅の建築確認申請を出したりするが、これを意匠屋さんという。
以前にも書いたと思うが、建築士にはこの意匠屋と構造屋の二つがある。
圧倒的に多いのが、意匠屋である。
意匠屋というと聞こえが悪いので、デザイナーと言ってもらおう。
デザイナーは構造は苦手である。
構造屋は地味な存在で、自分ひとりだけでは食っていけない。
デザイナーから、構造計算という仕事をもらって生業としている。
構造計算は全ての建物に必要なのだ。
ところが、住宅などの2階建ての低層建築物は、例外としているのが建築基準法である。
だから、一般住宅は構造計算をしなくてもいい。ミソッカスである。
要するに、木造住宅のほとんどが構造計算は必要ないのだ。
構造屋は主にコンクリート建築物などおおきな建物ばかりが仕事の対象である。
木造には興味ない。というか仕事にならない。3階建てがあるがボチボチの程度である。
木造住宅の耐震補強は、構造計算でよく使われる許容応力度計算とはちょっと違う計算方法で診断したり、設計したりする。
一般診断法とか精密診断法とか・・・耐震改修促進法の中で特別に決められた計算法である。
構造屋でもなじみが少ない。
意匠屋は構造は苦手である。構造屋も木造はあまり興味がない。
とくれば誰が、耐震をやるのか・・・・
いないのである。
現実は、意匠屋が耐震の計算方法を学んで、やっていると言うのが多かろう。
だから、木造の構造をやっているというと、業界では変わり者というレッテルが貼られる。
本当は構造屋がもっと出しゃばってほしい。
このあたりのことが解っているのが、横浜市の建築局住宅耐震課の連中である。
神奈川県の運転免許試験場で、実技の一発合格を狙うというのはものすごいことである。
全国一の厳しさだという。神奈川県で免許を取るということはものすごい難関である。
筆者はいつもこれと比べてしまう。
横浜市の耐震改修事業、要するに補助金申請をするということは、神奈川県で運転免許を一発合格することくらい難しい。
変な例えで余計解りにくくしてしまった・・・
そこを管理している横浜市の建築局のすごさを言いたいのである。
たまに変な検査員もいるが、補助金の額のみならず、厳しさという点でも全国一である。
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