木造建物の耐震診断法の改正があった。
これまでは、木造住宅と言っていたが、もう少し大きな建物でも木造であればこの方法が使えるということになったのが、今回の改正の一つであるからして、あえて、木造建物という言い方をした。
内容は、主に一般診断法のほうである。
診断法には、大きく分けて3つある。
一つは一般素人向けの『誰でもできる我が家の耐震診断』というのがある。
10問からある質問に一つづつ答えていって、その合計点数で診断がきまる。
結局10点満点でも、専門家に診てもらいましょう。ということになる。
これは、さておき、
一般診断法と精密診断法というのがある。
この二つにも、略算法と精算法というのがあって・・・と詳しく話すとこんがらかるから、簡単に。
この一般診断法が今回少し改正された。
改正された点は、ほんのちょっとだが、これがけっこう大きく違う。
一般診断法の位置づけは、これまで、耐震改修の要否を判断する。とこうなっていた。
精密診断法は、耐震改修の設計をするためのもの。とこうなっていた。
教科書の本筋は、一般診断法で耐震補強が必要などうか判断して、必要となったら、要するに1.0未満となったら、補強するのであれば、精密診断法で設計し、1.0以上にすることがいいですよ。と書いてある。
ただし、一般診断法で設計してもだめとは言っていない。ここらが、この手の逃げ道的なものであろう。
で、民間では一般診断法で設計しているものが多い。
なぜか?
それは、一般診断法のほうが、精密診断法で設計するより、補強箇所が少なくてすむ傾向がある。
補強箇所が少ないほうが工事費は安くなる。当然である。それだけやることが少ない。
工事費が安くなるということはそれだけ、やり易くなる。これはお客様にとっても好都合であるが、それだけでいいのかという点もある。また、耐震補強が進むから、やらないよりいい。とい議論もある。
これも言いたいことはあるが、今日のところはここまで、さておき。
改正の話である。
1.0未満は倒壊する可能性がある。とか、倒壊する可能性が高いというレベル。
それを、1.0以上に持っていく。
1.0以上とは、一応倒壊しない。1.5以上になると一応がとれて、倒壊しない。という基準になる。
同じ1.0でも一般診断のほうが精密診断に比べると甘く出る傾向がある。全部じゃないが・・・
古い住宅ほど、一般診断のほうが甘く出る。新らしい住宅ではどちらも同じくらいか、精密のほうがよい数字になったりするものもある。ケースバイケース。。。
でも、耐震ってそのほとんどが古い住宅が対象だから、
特に行政が行うもの、横浜市の補助金申請なんかは、精密で設計しなければ補助の対象にはならないので、一般診断で設計するより補強箇所が多くなる。
説明が下手で長くなってしまった。。。。戻そう・・・
今回、一般診断で改正になった大きな点は、雑壁の計算方法である。
雑壁とは、耐力壁と判定できない部分の壁である。
耐力壁とは主に筋交いのある壁などで、地震の時に頑張ってくれる壁でその強度がハッキリと分かっている壁のことをいうが、地震の時、頑張る壁ってそれだけじゃないよね~というのが一般診断法では言っていて、それが雑壁というわけである。
筋交いが入ってない壁や窓上や窓下のちょっとした壁もそうだ。
これらも少しは頑張ってるということを評価している。
その評価を、これまでは単純に必要耐力の1/4はすでにあるよね、ということで保有している耐力計算の中にいれている。これが 一般診断の計算方法だった。
これが、1/4はちょっと多過ぎやしませんか?というのが今回の改正。
ここでいう必要耐力とは、大地震の時、家が倒れないにはこれだけは必要だという耐力のこと。これを先ず計算します。
そして、実際にある耐力、これを保有耐力と言います。診断で見て、計算します。
計算は単純。保有耐力を必要耐力で割る。
例えば、必要耐力が100knと出た。保有耐力が調べて50knだとすると、50/100で0.5となる。
これは、倒壊する可能性が高いという判断となる。
この保有耐力の50knの中身が、必要耐力の1/4、25kn(100knの1/4)を下駄をはかせているのが一般診断である。
だから、保有耐力の計算できる部分が25knで、雑壁として必要耐力の1/4を加えて、50knだということがおわかりだろう。
精密診断はこういう風には計算しない。すべて耐力として計算できる壁だけを見て計算する方法である。
細かいことを言うとそれだけじゃないが、大雑把にはそれでいい。
この一般診断の雑壁にメスを入れたのが今回の改正の大きなポイントである。
なので、結論!一般診断でもこれまでのように甘くは出ないということ。
厳しくなった改正である。
この辺で・・・やめときましょう・・・
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