横浜市の耐震補助金制度というのがある。
知っている方も多かろう。
一昨年前までは、知らなかったという方がけっこういたが、今はもう知らなければ、横浜市民としてはもぐりだ。
このあたりは市の広報活動に敬意を表しよう。
林市長の事前防災に対する力の入れようも本物と見た。広報よこはまの告知もよかった。
力を入れているだけに苦言も少々いってもいいだろう。
専門家としても言いたいところはある。
昨日も少し書いたが、診断方法のことに絡む。
一般診断と精密診断の二つがあるが、横浜市の補助金申請の為の設計は精密診断法と決まっている。
それはそれでけっこう。だが、もう少し柔軟に考えられないのか。。。
携わっている者として、細かい話をする。
精密診断法であるならば、それでけっこう。
一般診断法の改正があるが、(これまでの診断法でもどちらでもよいことになっているが、あと2年もすれば改正のほうしか使えないということになろう。)これが厳しくなったことで精密診断に流れる傾向が民間でも強くなるだろう。しかも精密の精算法になると思う。そのほうが経済設計になる傾向がある。これは余談。。。
ハッキリ提言しよう!1階のみの補強も可能にしてはどうか!
もちろん地区によっては一部耐震といってすでに補助金の対象として出している。
上限は100万円(非課税世帯150万円)である。
これを特定の地域のみならず、全部にすればよい。
特定の地域とは、こちらを参照されたし。http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/guid/kenki/bousai/mokutai/ichibu/
要するに住宅密集地域である。これは評価できる。いいことだ。
第2に設計上のことだが、既存の耐力を見る時、石膏ボードの耐力を釘のピッチまで確認するのはどうかと思う。
面材(壁の素材)そのものではなく、面材を留めつけている釘の太さやピッチによって耐力が違うということはわかる。
しかしおそらく、石膏ボードの留めつけにそんなに手を抜いたことは施工上出来ない。
手を抜けば、支えられずに重い石膏ボードが倒れてくるはず。
この石膏ボードの釘ピッチを確認せよというのは、石膏ボードは耐力換算するな、見るなということになる。
改正の石膏ボードの耐力は少し下がって1.1knだったように記憶しているが、このくらいだったら、釘ピッチの確認まではいかがなものだろうか。。。
これでもけっこう工事個所に影響が出てくる。
出てくると言っても3か所位だ。ちょっとだが、工事費が安くなる。
あと、柱の引き抜き力、N値のこと。
これまでは、ホールダウンコーナーという金物(柱頭柱脚金物)がOKだった。13.5kn位までは大丈夫というもの。
本来10kn以上は、ホールダウン金物を使う。(ややこしいが、ホールダウン金物とホールダウンコーナー金物とは違うもの)
これは、実は建築局企画課の以前にいた課長のSさんに教えてもらった金物である。
これを使えばいいじゃん!って教えてくれた。
しかし、今は10kn以上は基礎を新しく鉄筋基礎を既存基礎につなげて(ツイン基礎)やりしなさい。そしてホールダウン金物をつけなさいという考えである。これはまたお金がかかるやり方だ。
なんでだろう?♪なんでだろう?♪・・・である。
役所で教えてくれた金物がダメって???
いや基準は変わるものだから、そんなに頭に来ているわけじゃない。
10kn以上が、1か所位はいいんじゃないか。という考えが昨年まではあったのが、今年度からは10knは全部ツイン基礎で、ホールダウン金物で接続という見解のようだ。
古い基礎だから分かるが・・・それでも10knちょっとくらいはいいんじゃないかい。。。だって、ちゃんと実験データがある金物を使うんだから。。。
また、古い基礎だからこそあまりN値をかけずに、基礎に負担をかけないような設計を考慮することが肝要と我々は考えているが・・・
ついでにもうひとつ、建防協の認定がない工法や耐震商品はダメとか、これもどうにかしてほしい。
メーカーの十分な実験データや説明書があればOKということには出来ないのか!?
などなど、けっこう民間の耐震補強に比べて、キビシイ!!
これが税金を使っての耐震だからしょうがないって言えばそれまでだが、もっと使いやすく、ある程度の緩和が必要ではないのか!
本来の目的は?何のための補助金か!?
事前防災であろう。事後に行政が行う復旧の為の費用を考えたら、莫大なものがある。
ので、事前防災のほうがはるかに効果的である。これが耐震補助金の位置づけであろう。
であれば、もっと効果的な方法もあろう。
ハッキリ言おう!
横浜市の耐震補助金を使う設計の条件では、補強工事は高額になります。
昨年からの市の設計条件にキビシイ改正が相次いでいるので、工事費が現在平均で350万円位になっている。
全国平均の耐震補強の金額は、150万円位である。
なんでこんなに、2倍以上も差が出るのか?
前述したような細かい条件内容の積み重ねにその原因がある。
補助金で差額を埋めても、自己負担額に差がない。のはどういうこと?
そりゃ、安全側と言ってしまえばそれまで。より強固になります。安全です。と行政は言うだろう。
もっと広めて使いやすくするのも行政の役目ではなかろうか。。。
補助金がいくら出てもやっぱり自己負担額がいくらか?が切実な問題である。
これでは本末転倒のようなことになっているのが現場である。
これを素人にどうわかりやすく説明すればいいのか・・・
単純に、少しでも安心を提供する。と考えるようにしているが。。。